“パ高セ低”の理由は「DH制度」にあり。山本昌からの提言
今シーズンもパ・リーグの日本一で終わったプロ野球。なぜ、パは強いのか。
■セ・リーグがDH制度を採用できないだろう理由
DH制度がパ・リーグに導入されたのは1975年からです。メジャーリーグのアメリカン・リーグが取り入れ集客力アップにつながったことを参考に、当時はセ・リーグが圧倒的人気を誇っていましたから、それに対抗するためでもあったでしょう。
この制度の利点を挙げるとすれば、まず、先発ピッチャーがぎりぎりまで投げられることです。DHがないセ・リーグは、いくら先発が抑えていても、点差が僅差であれば6回や7回で投手に打席が回ると代打を送られてしまいます。
そしてもうひとつ。野手目線で言えば、セ・リーグよりひとり多く打者を育てられることも大きいですね。例えば「守備は劣るけどバッティングがいい」といった選手がいればDHとして起用できますし、故障などで「守ることは厳しいけど、打つだけなら問題ない」と選手を起用できるわけです。そこでもし、その選手の代わりに守備に就いた選手が活躍すれば、チームとしては戦力がアップする。今年に関して言えば、大谷選手がDHとして出場できなければ、日本ハムの優勝だってどうなっていたかわかりません。
「じゃあ、セ・リーグにもDH制度を導入すればいいじゃないか」。そんな考えを持つ方も少なくないでしょう。私自身、そうなれば面白いと思っています。
しかし、弊害もあります。
日本野球の最高峰であるプロ野球がそれをしてしまえば、アマチュア野球も投手を打席に立たせる理由がなくなってしまいます。高校野球ならば、夏の大会は体力的にも過酷ですからDHを設けたほうが故障防止にもつながるでしょうし、大学にしても東京六大学リーグを除けば東都大学リーグなどDH制度を適用しているリーグは数多く存在します。ただ、そうなると今後、大谷選手のような「二刀流」が出現しなくなるかもしれないので、それはそれで寂しいような気もします。
もしかしたら、メジャーリーグのナショナル・リーグがDH制度を設けたとしたら、日本のセ・リーグも後を追う可能性もあるのかもしれませんし、そうすれば、パ・リーグのように魅力あるリーグになるでしょう。いずれにせよ、難しい問題であることに変わりはありませんね。
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